Technique-600THz

前夜すべて

たのしい日課:superimposing

毎朝新譜だとかなんでもいいから色々聴くようにしている、特に数年前から複数の曲を同時再生するのをやっていた。みんなやってるよな?!と思って特に話題にしていなかったけれど、あんまりそうでもないらしい。自分がやる目的としては、思いがけないテクスチュアや音を探したいというのが一番だけど、別にそうでなくでもいい。

 

人前でやったらおもろいじゃんとかなんとか色々雑談してて、それはバカのDJじゃん、と最初に思ったのでそう呼称していたりするが(DJの人はもっと繊細なことしてるので私がやってるのはばかばかしすぎるという意味で)、まあなんか全方位的に失礼な感じもあるので、やってることを一言でいうとsuperimpose、重ね合わせだったりする。複数曲を同時再生して、その重なりを聴く。

 

ルールもクソもないので、みんな好きにやればいいと思う。PCで二窓するだけ。個人的には、

  • 曲のテンポは変えない
  • 音量バランスは気にする
  • 細かくチョップしたり編集したりはあんまりしない(ミュジック・コンクレート気味になっちゃうから)
  • 再生するタイミングをずらしただけでポリリズムだとかが生まれるので、その塩梅をなんかやってみる
  • なるべく離れたジャンルでやると面白い。知らない曲をどんどん使おう。あと聞き慣れた曲を使うのも面白い

くらいの感じでやっている。別にこれに則らなくてもいいです。テンポ変えてDJさながらにやってもいいし、ポリリズムを探したり、気持ちいいはまり方を探したり。聴いていくうちに伸縮してリズムがあったりあわなかったりするのを聴き流したり。テンポを無理に合わせなくても自然と合ったりします(3連符3つと16分音符4つとかが3:4のはずがきっちり合っちゃったり)。逆に合わせないのも面白い。けっこう長めに流しておくと楽しいです。細部を詰めるのもいいけど全体の流れを聴くのもいい。

 

選曲として、同じ系統の楽器を使っていると(ギターと弦楽器とか、エレピとチェレスタとか)馴染みやすい。でも馴染まなくても面白い。あとソロ演奏をひとつ見つけてきて、それを主旋律として伴奏の音源を色々試してみるってのもやりやすい。あと現代芸術音楽はわりと何とでも馴染みます。音が奇抜なのが多いし、拍子がない曲も多いので。

 

テクスチュアの観点からは、これは広く言えばlayered texture(層的テクスチュア)にあたるもの。これは異なるテクスチュアを持った層(一連の音)が複数同時に存在し、それが重ね合わせられたりするタイプのテクスチュアのこと、である。

superimposingの場合、それぞれの曲は元々は別のテクスチュアを形成しているのだが、重ねあわせられることでそれぞれは一曲から一層となる。より総体的な見方をすれば、二曲は一曲になる。これを、曲の層化とでも言えばいいのだろうか。その際、片方が旋律のようになる(同時にもう一方は伴奏/背景のようになる)ことがある。ただし、曲はそれぞれ好きに進行していくので、途中で旋律:伴奏といったヒエラルキーが逆転したりすることもある。と思えば、そもそもヒエラルキーが成立せず、混ざり合うこともある。この場合、今聴いている音がどちらの曲の音か、という判別がさほど明瞭につかないことが混ざり合うと感じる原因かと思われる。まあそんな御託はいいです。

 

余談ですが、落語とlo-fi-hip-popの相性のよさを確かめたとき、適当に落語の方を選んだのだけれど、人によって全然語りが違うので、いろんなひとで試すとおもしろいです。個人的おすすめは十代目小三治(もともと音楽みたいな喋り方するし)、六代目圓生(喋り方てか口腔の使い方がchill)。

 

以前集まりで使ったのはこの辺です↓

自分で少し編集したやつ:山下達郎《INTERLUDE Ⅱ》(アルバム『RIDE ON TIME』収録、デジタルで存在していない)、Matt Haimovitz《Helter Skelter》(原曲Beatles)、John Scofield《Radio》、V6《MAGIC  CARPET RIDE》のインスト版(曲自体デジタルで存在していないので聴ける公式動画あげとく)

Helter Skelter (Arr. for Cello by L.P. Woolf)

Helter Skelter (Arr. for Cello by L.P. Woolf)

  • マット・ハイモヴィツ
  • クラシック
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

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二窓で聴いたやつ:Xenakis《Pithoprakta》とJohn Scofield

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