Technique-600THz

前夜すべて

車窓 PM20:00

 バイトに出勤するには1時間くらい電車に揺られなくてはいけないので、ずっと音楽を聞くか本を読むくらいしかすることがない。

 

 King gnuの曲をApple Musicのランキングの上から順番に10曲くらい流して聞いた。作風はめちゃくちゃ似ている(スタイルが固まっていることの証左だろうけど)。ミックスはアルバムごとに全然違くて、ものによっては映画の効果サウンドみたいなの(サイドチェインかもしれない)が自分のイヤホンでは悪い意味で気持ち悪いなと思わざるをえないかかりかたをしていた。あと声が図と地でいうと地の方にあって、ドラムとかが図の方、前景にきている。

 複雑さが持ち味ぽいこのバンド、コードが複雑とか色々言われているが(これは米津さんなども含め)テクニカルなメロディーの運びもその複雑さに寄与している。とか思いつつ口ずさんでいて、昔やっていたクローゼとかランスロのエチュードをさらっている感覚に似ているなと思った。音価を伸ばしたりすれば演奏しやすくかつ叙情的なメロディーなのに、全部複雑なリズムとアクセントがついていて、しかも四分音符=138とかのメトロノームに合わせなきゃいけないので意識が振り回されるあの感覚だ。あのすさまじい音高の跳躍、それでいて繊細な感じがすごく似ている。

 俗に言うボカロ世代は、ボーカロイドを使用した身体の拡張による音楽に慣れているから複雑さに慣れているという言説がある。それに通じる点として器楽的性質への傾向がある気がする。西洋芸術音楽でも、ピアノなどの楽器が改良されはじめた時代に見られる。ピアノやギターでは易々と弾けるが、歌うのは難しい。

 でも、ときどきキャッチーで清々しいほどのびやかな歌謡的メロディーがあったりする。ボーカルの人がポルノグラフィティの音楽が好きみたいな話をどこかで見たので、その影響もあるのか? 作曲は違う人が担当してるぽいけど。

 

 あと、普段歌詞がまったく入ってこないタイプなのだが、輪を掛けて歌詞が入ってこなかった。音だけが入ってくる。他の人はどうなのか気になる。